2011年3月後編（3）

震災で日本は多くの人や物を失ったが、日本の信用は失われていなかった。地震直後
こそ一瞬大きく円安に振れたが、すぐにそれまで以上に円高に買い戻され、一時76円
まで急騰し、各国の協調介入まで実施されたほどだ。首都直撃は避けられたものの
これだけ大きな地震で経済的損失も計り知れないのに、被災の当事国である日本の
円が買われるとは皮肉なものだ。株価も最大2000円ほど下落したが、すでに3分の2
ほど戻している。経済的にも日本はまだ世界から見捨てられていない。

大きな損失を被るとそれを跳ね返そうとする力が人間にはあると思う。先の大戦後に
日本が大きく復興したのが良い例だし、お隣韓国でも近年通貨危機で国が破綻寸前に
まで追い込まれても、その後日本を追い抜くほどめざましい経済成長を見せている。

最近中国や韓国など他のアジアに押され気味で、少し元気がなくなってきた日本では
あるが、これをバネにして逆にもう一度韓国や中国を抜き返す力を見せて欲しいと思う。
私もその一員として微力ながら何か自分ができることをやりたいという思いもある。

今回の惨事に対して地震は天災だが、原発は人災だとも言われている。私もおおよそ
そのように思う。政府に情報伝達の不手際はあったし、東電に危機管理の甘さや隠蔽
体質があったのも確かだろう。だけど、今なお福島に詰めて昼夜を問わず働いている
数百の人々がいることも忘れてはいけない。文字通り命をかけて作業している人達だ。

福島の原発は東電だけの責任ではない。なぜならそれを必要としている私たちの
ために作られものだからだ。そこで発電された電気は首都圏に運ばれてきている。
東京で湯水のごとく使用していた私たちにも責任はあるだろう。依然予断を許さない
状況が続いているが、事態は少しずつ沈静化の方向にあり、まずは福島原発で作業
されている方々に感謝したい。

今回の地震で当たり前のことが当り前にできることの有り難さを感じた。マンションは
ポンプで水を汲み上げているので、停電になると水も出なくなると始めて知った。
スイッチを入れれば明かりが付く、蛇口をひねれば水が出る、今まで普通に使え、
普通に買えたものが滞った時に今の世の便利さを実感した。

地震後からトヨタやホンダは操業が2週間もストップした。完成まで2万点も部品を
必要とするという自動車で、1点でも調達に欠ければラインはストップしてしまう。さきの
新潟県中越沖地震の時にはトヨタが操業を止めたのは3日間だったから、これと比較
しても今回の震災の規模の大きさが伺える。

人気ブログランキングへ