高尾山に行った日の嬉しいこと 後編（4）

実は私は去年今のマンションに引っ越す際に、お世話になった不動産屋のおじさん
とも仲良くなって、スマホの操作を教えて何度かご飯をおごってもらったことがある。
また床屋のおじさん（70過ぎなのでおじいさん？）にパソコンを教えて、ビール券や
カレー、煮物なども何度ももらったりしている。

この日記を書くことは先週から決めていたが、実は、昨日も床屋のおじさんから
ビール券に加えて、なんと5千円までもらってしまった。昨日昼間にパソコンの調子が
悪いのでみて欲しいという電話があったので「じゃあ夕方行きます」と言って日記を
書いたあとすぐに向ったのだ。弥生会計という個人商店向けの会計ソフトの入力を
間違って上書き保存してしまったため、なんとか元に戻す方法はないのかというのだ。

私はこれでも別に物欲しそうにしてそんなことをした訳ではない。昨日だっていつも
色々もらっているので申し訳なく、始めに「ものとかお金とか何もいらないですからね。
ただ自分の趣味でやってるだけなんで。」とことわりをいれた。

ふだん社会との関わりがないので、こんな自分でも何か人の役に立って喜んでもらえる
ことが嬉しいのだ。社会の中で自分の居場所を探す、ぶっちゃけていえば、本当は自分
のためであり、自分のリハビリみたいなものなのだ。

スマホにしたって、私は自分ではスマホを持っていないので、その場でマニュアルを
見たり、手探りでやっているだけなのだ。全然たいしたことをしているわけではない。
例えば、メールで文字が上手く打てないと言われても、私もふだん使ったことないので、
「すいません、ちょっと手探りで試しているのでごめんなさいね。」と言っている。

昨日の弥生会計にしたってそんなソフトは今まで一度も使ったことない。ただWindows
上で動くソフトなので、共通のインターフェースというか、作法がある。それで「もしか
したら昔の状態にバックアップできる機能あるかな」と思ってこれまた手探りで探して
たまたま昨日はそれがあっただけなのだ。

弥生会計は今年2月以降の売上記録がおかしくなってしまっていたようなので、また
一から打ち直す手間が省けたといってすごく喜んでくれた。私としてはただバックアップ
の復元機能を探して、その手順を伝えただけなのだ。だから全く大したことはしてない
けれどもおじさんの笑顔をみたら、私も嬉しくて自分の心の充電ができた気分だった。

こんな私でも人との繋がりを感じられる。ほんとありがたいことだと思う。高尾山で
会ったおばちゃんが帰り道「今はすごく幸せです」と笑顔で言っていたのが今でも
忘れられない。人生は楽しいことより辛いことの方が多いと思うが、歳を取った時でも
おばちゃんのように、そう素直に言える人になりたいと思った。