難あり品

株に関係のない、とりとめも無いことを書いてみる。
日曜に日記を書く時は、できれば株以外のことを書いてみたい。

私は地元で作った野菜を販売する近所の農産物直売所に時々買い物に行く。
今の時期だったら、タマネギや人参、ジャガイモ、ほうれん草、白菜、長ネギ、ギャベツなどが
木製の商品棚の上に露天で所狭しと並べられている。

営業日は開店前から行列ができる程の混雑ぶりだ。私は最近になって通うようになったが、
野菜はどれもその日収穫したばかりの新鮮野菜ばかりだし、値段も安く、おまけに生産者が
直接商品を並べ、レジで対面販売しているので、買う方も安心感がある。

今の時代では例え高くても安全なものを、と安心・安全を求める人が多いのだから、安心できる
上に値段が安いとなれば、お客が殺到するのも頷ける。ただし、木棚に並べられた商品はただ
無造作に置いてあるだけ、という感じだし、並べられている野菜だって泥をあまり落としていない
ようなものもある。決してきれいに置かれている訳ではないのだ。

中には、｢難あり品｣と値札が貼られた野菜もあり、そういったものには、だだでさえ安いのに
さらに安い値段が付けられている。一見どこが｢難あり品｣なのか分からないものもあるが、
よく見ると傷があったり、大きさや形が不揃いだったりする。近所にはダイエーもあるが、
そこではこういった野菜を見たことがない。大手スーパーでは、きちんと教育された社員や
パートの人達が、見栄え良くきちんと野菜を並べており、そこでは｢難あり品｣の居場所はない
のだと思う。

だが、私はこの｢難あり品｣が気に入って、よく買うようにしている。最近では野菜はほとんど
ダイエーではなく、直売所で買うようになった。私の場合、その第一の理由は値段が安いこと
だが、ただそれだけでもない。直売所に野菜を並べているおじさんも太鼓判を押していたが、
｢難あり品｣は見た目は整っていなくても、味はまったく変わらないのだ。むしろ、少し量が
多めに袋に入っていたりする。

私はこれまでは野菜を選ぶ基準として、なんとなく形がきれいなものを選んでいたと思う。
要は見た目で判断していたのだ。だけど、直売所に通うようになってからは、形が不揃いな
｢難あり品｣を選びたいと思うようになった。さっきも言ったが、第一の理由は値段が安いこと。
だけど、それを見ると、もったいない気持ちや、選ばないのが忍びない、あるいは愛嬌のある
形をした人参やジャガイモを見て、なんだか愛着心も沸いてくるような気もしてくるのだ。

そして最近、もしかしてこれは｢難あり品｣を今の自分に投影しているのではないかと思った。
自分も何年か前までは会社に勤めていた。だけど、どうしてもその中でのルールに馴染めず、
会社を辞めてしまった。働いている人の大半はパートやアルバイトを含めて、サラリーマンと
言えるだろうから、そう考えると、そういった人達を｢規格品｣とすれば自分は｢難あり品｣では
ないだろうかと。だから今の自分を見ているような気がして、つい選んでしまうのかと思った。
｢たかが野菜で些細なことだろう｣、と流すこともできるが、なんとなくそう思う。

不況の昨今ではネットショップでも値段の安い難あり品や訳あり品に人気があるようだ。
人や物を見る時は、ただ外見だけに捕らわれず、その中身で判断したいものだ。

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